会長就任挨拶 |
ここ十数年、大学の数が大きく増え飽和状態にある。その中で各大学は、それぞれの存在意義を明確にすべく大学改革を真剣に行っており、京都大学でも松本前総長から山極新総長の時代と、その存在を世の中にアピールしているところである。 そもそも存在意義から見た大学の役割は大きく二つあり、ひとつは、グローバル社会で生きていく地頭の強い人材を育てることを目的とした、教養教育中心の役割であり、もうひとつは、世界の大学や機関と研究の成果を競い、戦略性の高い人材を育成していく専門領域の高度な場づくりである。 こういった中、学生諸氏のニーズも大いに多様化されていく。 そうした状況を踏まえ、京都大学の特徴や良さを挙げてみると ・社会の中で自立していく気持ちが特に強く、いわゆる「群れない」人材を輩出してきたこと ・自分で何かをやりたいと欲し、人と違ったことを求めていく文化 ・自分の可能性を決めつけず、個性を磨き、いろいろなことをやってみたい、今までにないものを知りたい・作りたい という意識 といったキーワードで表せるだろうか。 良い言葉で表現すれば前述のとおりだが、一方、反語的にみると ・ひとりよがり、自分では新しいと思っていても世界にはもっと先を行っている人がいる ・社会を変えていくほど大きなことを成していくのは、ひとりでは難しい。うまく他人を巻き込み、協調していくことが成就への早道である などとも言える。 自らの思いを持ち続け、世の中でそれを具現化していくために、大学にいる今為すべきことは何なのか。それは二つある。 ひとつ目は、視野を拡げ、自らを俯瞰してみて、人生の目的を探していくこと。そのための「場」を自分なりにもつことである。二つ目は、自らの思いを明確に形にしていくために、同根の思いをもつ「仲間」と、それを導いてくれる「師」をもつことである。 つまり「師をみつけよ」「場を拡げよ」である。 こういう目的に全く合致しているのが、同じ学び舎を出て諸々の世界観をもつ先輩たちとのつながりたる「京機会」である。この同窓会のつながりは、今の仲間のつながりであり、数十年の奥行きをもつ時間空間のつながりでもある。 会員として今の京機会を大いに利用するだけでなく、後輩にもつなげていき、将来にわたって「場」を拡げていくような積極的な活用を期待する。 2015年3月1日 藤原 健嗣 (1969卒) |
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