第2回報告
日時 | 平成25年6月20日(木) 13:00~19:00 |
会場 | 枚方市立旧田中家 鋳物民俗資料館 鴻池新田会所 懇親会:海席 よ志乃 |
参加者 | 17名(懇親会は16名) |
緑に囲まれた日本建築に降る雨は風情のうち、とも思いながらこの季節を選んだのだったが、見事に当ってしまった。今年は空梅雨とも心配されていたのが土砂降りの雨になり、それが上がった翌日も、しとしとと降る雨が続くなかでの見学会となった。
鋳物民俗博物館は昭和40年代まで操業していた建物が、廃業の際枚方市に寄贈され、移築して昭和59年に開館したもので、元文4(1739)年の祈祷札が棟木に掛けられていたそうで、昔の状態を伝える国内唯一の鋳物場であり、昔の鋳込み作業の面影を伝える。開館時には歴史と技術の学者が集まってシンポジウムが開かれたので、いろいろの資料が集めて展示されている。
真継家という公家が室町から江戸の終わりまで鋳物師の中核にいて、免状などを交付していたそうで古文書が残る。上納金を納めて「禁裏御用」の札を立て、大きな鋳物を吹いていた様子が想像される。近隣の寺院には江戸時代にここで鋳造された釣鐘がかなり残っている。
鴻池新田会所は、大和川付替えで干上がった新開池跡に、大阪今橋の両替商鴻池善右衛門の出資により開拓された、160町歩の新田の現地事務所として、宝永4(1704)年に作られたものである。本屋に足を踏み入れて、土間の広さ、梁をむき出しにした天井の高さ、梁の太さに眼を見張った。この建物の棟木に宝暦9(1759)年の棟札があったそうである。
昭和60(1985)年から10年をかけて解体修理し、江戸末期の盛時の姿に復元された。当初からこの農地は商品作物である木綿の生産に力を入れていたそうで、戦後の農地改革まで一貫して鴻池家の元で経営されていた。
懇親会は会所と駅に近い日本料理店で開いた。畳席は老人のグループにはすこしきつかったが、酒の進むほどにいろいろと話題が広がった。 (小浜弘幸記)
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