第4回報告

    日時 平成26年11月15日(土) 14:00~17:00~18:00
    会場 有形文化財・近代化産業遺産 大阪倶楽部会館
    次第 ●講演 「先達に導かれて技術史の世界を遍歴する」下間 頼一氏
    ●下間先生を囲む談話会
    ●コーヒーブレイク
    ●懇親会
    参加者 談話会 12名  懇親会 11名

     

    下間先生は昭和25(1950)年佐々木研究室のご出身、本年88歳、米寿を訪問中のブータンで祝われた。5年間特別研究生で大学院に残られたあと、蒸気の菅原菅雄先生とほぼ同じ頃、関西大学工学部に移られた。若い頃から幅広く歴史や文化に興味を持っておられたが、大学院に「技術史特論」の講座を開設され、組織的に世界中から資料の収集と研究を重ねて来られた。本日はパワーポイントを使って、その薀蓄の一端をご披露いただいた。
    1. はじめに、技術文化史を志した動機
    2. 鉄道の標準ゲージ1435mmはローマ時代のチャリオットに始まる。その事跡をヨーロッパ、オリエント、北アフリカに広くfield surveyされた
    3.アラビア湾クルーズ イタリアの観光船ルミノーザ号でペルシャ湾沿岸の諸都市を巡り、写真で産油国都市の近代化の様子を紹介された、船内では水墨画と煎茶手前を披露し日本文化の顕彰に勤められた
    4.南アフリカの鉄道は日本・ニュージランドに先駆けて建設され、JR在来線と同じゲージで、鉄道網は密に発達している。南ア、ナミビア、ボツワナ、ザンビア、ジンバブエ5国の珍しい風景写真などを見せて戴いた
    5.チューリヒのスイス連邦工科大学に留学時代入手されたルドルフ・ディーゼルの手記によると、ミュンヘン工科大学の恩師リンデ教授は低温工学の創始者で、ペナンに招かれ冷凍機の講演をしたとき、お土産に彼の地の山地民の発火ピストンを貰い、パイプの火付けに愛用されていた、これがディーゼルエンジンのアイディアの元という、戦時中にペナンに居られた方が入手された同様の現物が関大博物館にある
    6.精神文化の衰えた現代を憂いて草された「現代の危機と史的観照」という文章を紹介された

    懇親会:下間をシモツマと読むのは難しい、これは16世紀の石山本願寺の坊官を勤めた家柄で、先生は東本願寺の坊官の直系に当たられ、この関係のお付き合いも忙しい。こじんまりした懇親会は話が弾み、このような話まで出てきた。参加者もそれぞれの分野で経験を積まれた方達で、楽しく啓発される話題が次々と続いた。