第3回報告

    日時 平成26年5月24日(土) 14:00~18:30
    会場 今橋・大阪倶楽部(近代化産業遺産、有形文化財)3階3号室
    テーマ 大正から昭和初期の産業遺産(社交クラブと飛行機)
    次第 講演:ジョージ・ケイリー卿:航空の父か
    ― 19世紀イギリス貴族の生活と固定翼の発明 ―
    織田 剛氏(1990年卒、㈱神戸製鋼所)
    会館見学: (一社)大阪倶楽部 岸本局長ほか
    懇親会:乾杯発声 小澤元京機会長(58年卒) 前大阪倶楽部理事長
    参加者 28名

     

     年輩の方なら、終戦以前には飛行機が世間一般の広い話題になっていたことをご記憶に留めておられると思う。ゼロ戦、紫電改、ユンカース、ハインケルなどの言葉に特別の響きがある。昔の雰囲気を留める建物の中で、飛行機の話を聞こうというのが発案の原点にあった。多くの候補の中からこの二つを組み合わせた言い訳である。著名な航空工学の歴史家であるジョン・D・アンダーソンJr.の著書「飛行機技術の歴史」を翻訳、京都大学学術出版会より昨秋上梓された織田剛氏に、講演を快く引き受けていただけたのは幸いであった。氏は5年前にも同じ著者の「空気力学の歴史」を翻訳出版されている。両者合わせて、この分野の歴史をじっくりと味わいたい者にとって、良いガイドとなる書物である。

    織田氏はこの期間の飛行機の変遷を追うよりも、飛行機の原点である羽ばたきで無く固定翼で空を飛ぶという発想を、始めて具体化した19世紀のイギリス貴族の生活と研究を紹介された。初めて聞く話であったが、後のリリエンタール、ライト兄弟など有名な人々の先駆けとなったことが良く理解され、また、イギリス貴族の当時の生活と気分も良くわかった。
     建物に求められるコンセプトが今とは異なった時代の建物の中を、目を凝らせて歩き回るのは興味深いことである。関東大震災直後に気鋭の設計家が腕をふるって作ったものにはいろいろと共感するところが多い。参加者それぞれに感想を持たれたことと推察する。

    千数百名の倶楽部メンバーは文系の人が多いが、前期に初めて京機会員の理事長が実現した。小澤前理事長は懇親会の始めにいろいろと倶楽部の活動の紹介をされた。業種や出身母体などに偏りが無く個人会員の活動参加を中心としている大阪倶楽部に、京機会会員がもっと多数加入いただくことも期待された。

    次回、第4回産業遺産探訪は、11月15日(土)14時より同じ大阪倶楽部で、下間頼一関西大学名誉教授のお話を聴く予定をしている。

    (小浜弘幸記)

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