談風会(33年卒同期会)報告

    令和5年(2023年)3月31日、学士会館にて「第20回談風会」を開催した。
    本会は昭和33年同期会(京岬会)の下部組織で会員が自由議題で20分程度の報告をする相互啓発の会である。前回は2020年1月21日で、コロナの関係で3年振りの開催となり出席者は前回より2名少ない4名であった。

    1.「縄文時代」: 岸本秀弘

    縄文時代はBC14,000年~BC1,000年の時代で、現在より2℃~3℃暖かく海抜は今より5メートル位高い海岸線であった。人口分布は東北、関東に多く関西、西日本より密度が高かった。

    ①縄文土器 土器は煮炊きや水を入れる容器に使用されたが命の源泉である水や食べ物は神聖なものであるという考えから縄の模様(縄文)を付けた。
    ②火焔土器 縄文土器の極致で芸術性も非常に高い。
    ③縄文のヴィーナス像(縄文中期BC2,500年頃) 縄文土偶の代表格 豊満な女性を神聖視し又芸術性も高い。
    ④生活 気候が温暖で、緑に満ち、木の実・山菜・野生の動物等食べ物は手に入り易く平和な暮しをしていた。
    ⑤縄文時代は原始時代ではなく、日本列島に確かな文明があった。それは大陸の四大文明と異なる、自然と織り合った世界に誇れる日本文明であった。

    2.「地球温暖化防止(炭酸ガスゼロ)政策への一考察」: 中村弥寿家

    現在、地球は温暖化しておりその原因は化石燃料の使用によるものとする説である。温暖化は自然災 害を増大させて、旱魃等で植物を生育しにくくなり人類滅亡の危機になる。その対策が必要であるという説である。

    ①国連を中心とする強大な炭酸ガス削減組織
    ア)国連気象変動枠組条約締結組織(COP)
    ・COP21(パリ会議 2015年)2030年に日本、炭酸ガス2013年比26%削減、米26~28%削減
    ・欧、米、日 2050年にカーボンニュートラル、中国は2060年に。
    イ)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
    ウ)気候サミット 国連事務総長主催の世界のリーダー会議
    エ)世界経済フォーラム(WEF ダボス会議)
    オ)影の推進者 国際金融資本家
    参考 現在のCOPの削減目標は欧州、日本、米国に厳しく、中国には緩い契約になっている。

    ②炭酸ガス起因の温暖化危機説への疑問
    ア)地球温暖化は地球自体の温冷サイクルの一貫で現在は温暖期にあたる。
    イ)地球温暖化しても困らない。産業革命時代より現在の方が住み易い。
    ウ)炭酸ガスの濃度の増加は植物の生育を高める。

    ③温暖化防止派の狙い
    ア)世界の産業構造の大変革 EV化、太陽光発電、バッテリー等
    イ)原子力発電の推進(但しドイツは反対)
    ウ)石油資本家の化石燃料採掘抑制による価格高騰。最終的にはカーボンゼロには反対か。
    エ)単純に地球温暖化防止の達成。

    ④今後の展望
    ア)ウクライナ戦争の影響がありヨーロッパで石炭発電所の継続使用化。
    イ)ドイツの原子力発電所の全廃 2022年10月から延期へ。
    ウ)EU  ガソリン車の販売2035年全面禁止の予定であったが2023年3月ドイツ、イタリア、ポーランド等の反対で無期延期(但し合成燃料使用の条件で)
    エ)米国 州政府の石炭火力発電所の制約やEV車への補助金に反対する州が出ている。政権が変わるとCOPから脱退の可能性も。
    オ)中国 EV車等良いとこ取りをするが本当に化石燃料を廃止するか疑問。

    3.「日本木造建築の輝き」: 倉田武彦

    日本の木造建築は世界遺産として特異の存在であり、例えば東大寺の創建は国家としての大事業であったし、更に二度にわたる騒乱焼失とその再建(鎌倉時代初期と江戸中期)も大事業であった。工事に要した巨大な木材の確保と建築現場への搬入などに要した壮大な苦難の歴史を紹介された。
    また、日本が誇る五重塔や三重塔の耐震性の技術の輝きを取り上げて、木造の風格とその技術の特異性を紹介。過去の大地震に際して古代から寺院の塔は損壊していないのは驚きである。先人たちの技術と努力に敬意を表する紹介がなされた。

    4.「桜の歌」: 梅本毅

    四つの歌とこれの二つ対歌を披露。

    ア)西行法師(1118~1190)
    願わくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月の頃
    イ)在原業平(825~880)
    世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
    ウ)詠み人知らず
    散ればこそ いとど桜はめでたけれ 憂き世になにか 久しかるべき
    エ)良寛和尚(1758~1831)
    散る桜 残る桜も 散る桜 (特攻隊の歌にも使われている)
    裏を見せ 表を見せて 散る紅葉
    オ)小林一茶(1763~1828)
    死に支度 致せ致せと 桜かな