ゴンドラ、船、吊り橋の揺れを簡単に止める
京都大学 精密 松久 寛
 ゴンドラ、船、吊り橋の振動をとめる方法として動吸振器を用いた。動吸振器は、振幅の大きな位置に取り付けるのが一般的であるが、この方法は振幅量が小さく質点の曲率と異なる位置に取り付けるのが効果的である。模型とビデオを併用して以下を説明した。

ゴンドラの上部に円弧上を移動する車を置き、車の下部に取り付けた磁石の渦電流で振動減衰させる。(磐梯山でのビデオ)これにより、揺れを1/3にできた。(模型)
ゴンドラの位置によって、固有振動数が変化する。空のゴンドラが強風に揺られて乗り場の鉄塔に衝突することを防ぐために、乗り場近くの固有振動数(周期4.3s、4.7s)に合わせて設計した。これにより、減衰率は15-16%となる。このとき、吊り脚中央付近では周期が5.4sとなるため、減衰率は3%程度。
固有振動数を変えるために円弧の曲率を変えるのはコスト大となるので、転がる車を円筒にし、円筒の重さで周期を変化させる。
上記の装置を船に応用すると、重量が大きいので、停止時にのみ機能すると想定して、水の入ったU字管(端部には、空気が漏れる程度の穴を付け振動減衰させる)を取り付けた。船のモデルでは効果大(ビデオ)。これを吊り橋のねじれ振動に利用し、モデルでは大きな効果が得られ、フラッター速度を上昇できる。
横振動に対して、ジャイロは大きく縦に振動する。これを利用して、コンパクトな動吸振機を開発。(六甲山ロープウェイでのビデオ)

海外の資格制度の相互認定のため、技術者認定(技術士、PE)制度が大学内の教育カリキュラムを含めて大きく変わろうとしている。これは、香港、南ア、マレーシアが相互認定の機構(Washington Accord)に加盟したため、日本もJABEE(日本技術者認定機構)を中心として制度の見直しが迫られているためである。
 PE認定のためには一次試験、二次試験を通過する必要があり、二次試験受験のためには4年間の実務経験を必要とする。一次試験は、JABEEが認定した教育カリキュラムを持つ大学を卒業すれば、パスできる。このため、JABEEの教育方針に従った教育が大学に対して要求されている。教育カリキュラムには、エンジニア倫理、遺伝子工学なども含む必要がある。

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