放送用VTRにおける互換性技術
松下電器産業(株)AVC社 AVC商品開発開発センター 竹内 淳
 放送用VTRは、MフォーマットからデジタルVTR、1/4インチDVCPRO、HD用VTRへ変遷してきた。近年では、長時間記録、低ランニングコストを計ったDVCPRO-100が開発された。(1台800万円)このビデオヘッドは18000r/minで回転し、テープ走行速度20m/s時にテープ長120mm間で歪み幅3μm以下でなければならない。さらに近年では直径21.7mmのドラムの中に24個のヘッドを取り付けており高精度・高密度実装となってきている。高精度・高密度実装のVTRでは、VTR互換性が重要である。磁気テープは、リードに合わせて走行しなければならないが、40μmのヘッドの突き出しがあるためにテープ位置を規制する力が変化する。これをドラムに取り付けた規制力出力センサで計測したところ、規制力はヘッドの影響で1.1cNから0.6cNに変化することが分かった。テープの規制力は1cN以上が好ましいためテープが沿う溝深さや回転ドラムと静止ドラム間のギャップの影響を調べた。溝が小さいとテープが浮き始め、規制力が小さくなる。溝高さが5-10μmが最適値であることが分かった。また、回転・静止ドラムの半径差が大きいとテープが浮くため、半径差の最適値を求めたところ、10μmであった。以上を含めた検討から、走行安定性の定量化をリード規制力の観点から求め、テンション均一化、浮上の均一化を実現するためにダミーヘッド付き中回転ドラムやアジマスリニアリティ測定(マスターテープの曲がりを補正してリアルタイムにデジタル的に検出する)を可能とした。

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