マシニングセンターの高速化と知能化
京都大学 精密 松原 厚
 マシンニングセンタの展示において、50m/min以上の速度を持つものが増加しており、軸の回転数も7万回転以上の磁気軸受けを用いたものが見られるようになってきた。移動時の加速度も従来の0.3Gから1Gになり、また大きな主軸を用いて小さな切り粉として高速化するなどの傾向がある。この高速マシンニングセンタの問題としてモニタリングが出来ないこと、切削条件が決めにくいことが挙げられる。それゆえ、切削条件を決定し、制御パラメータを決定するデータベースシステムや知的適応制御を持った知能化工作機械が必要であると考えた。これらは、PCベースのOpenアーキテクチャ、CNCを利用し、切削プロセスやポストプロセスの結果をモータ電流などからモニタリングし、これをサーボコントローラの上流にあるスーパバイザにフィードバックするものである。
 適応制御方式として、学習型、リアルタイム型があり、これをタップ加工に応用した事例を示した。タップ加工では、スラスト方向への力とトルクの制御が重要である。学習型適応制御としてスラスト力を徐々に上げてゆき加工能率を上げる方法(能率2.8倍向上)やリアルタイム型としてトルクの上昇率から切り屑詰まりを検知しペッキング動作に切り替える機能などを紹介した。また、ドリルを高速で引き戻すと工具の寿命が延びるなどの事例も紹介した。
 このような加工のデータベースシステムには、加工パラメータ(工具、ホルダ、治具など)の数が多いといった問題、最適化の経路を探し出すのに時間がかかる問題、データベースの管理者を容易に決定できない問題がある。

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