摩擦減衰型免震装置の開発
川崎重工業(株) 西田 徹
 阪神大震災時での教訓を基に開発された、架橋上の橋の揺れを防止する「摩擦減衰型免震装置」について発表された。これは、ガラス繊維入りテフロンリングを橋脚と橋の間に配置し、テフロンリングの摩擦力で架橋と橋の振動を絶縁・減衰できる。ただし、横方向の振幅を制限するため、ゴムで構成される水平バネも架橋と橋の間に配置した。地震後の復旧の際には、テフロンリングの中央部に水圧を加え、橋の自重を浮かせるジャッキ機構も同時に備えている。テフロンリングの摩擦係数は振動速度が小さいと0.04であるが、振動速度の増加に伴い増加し、面圧が18.5MPaの場合、振動速度「5cm/s以上」で一定値0.14となる。面圧が大きくなると、この一定値は小さくなる傾向を持つ。これら基礎的な実験データを用いて、この装置の振動シミュレーションを行ったところ、実際の架橋の1/5モデルを用いた実験結果と良く一致する。また、実際の地震波によるシミュレーションでは、ゴム防振の通常の免震装置と比較すると、振動加速度は同等で、応答振幅はもっともよい場合には1/2という結果を得た。

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